お帰りなさいませご主人様!

 眼鏡をかけたメイド姿のロボットが胸の前で手を組みながら満面の笑みで帰ってきた僕を迎える。
 そういう属性……萌え? というのか? そんなのが僕にも備わっていたのなら、ここは涙を流して喜ぶべきなのだろう。しかし、残念ながらも僕にはそんな特殊な趣味は無い。



 三十世紀から来たと自称するロボットはいつのまにか僕の家に居座っていた。未来からやってくるロボット=ネコ型だという固定観念は捨て去らねばならなかったらしい。しかも、彼女は机の中ではなくて、普通に玄関から入ってきたのだ。いたいけな青少年の夢を返せ! ふじこえふふじおに謝れ! ……いや、なんとなく。八つ当たりしたかっただけなんだすまない。
 彼女とのファーストインプレッション。第一声はこうだ。

 はじめましてご主人様! 貴方は選ばれました! ご主人様は二十一世紀のモニターのお一人としてわたくし、アンドロイド人型の働きぶりをご堪能下さるだけで大丈夫! ご主人様の死後、ただちに我が社のエージェントが当商品を回収し、より良い品質改良のため役立てます!

 なんだ貴方は選ばれましたって。よくある騙しのテクニックか。
 僕ははなから信じられず(あたりまえだ)可愛いのに頭が可哀想な彼女にお帰り願った。噛んで含めるように丁重にお断りしたが、彼女は笑顔を崩さずその場を動こうともしない。そして天真爛漫な笑みを浮かべながらこう言った。

 ご主人様、もし、本商品、アンドロイド人型の受け取りを拒否されますと、もれなくわたくし、スクラップになってしまうのですが……ええ、ええ、ご主人様のような立派な人間の方と比べれば、わたくし、ただの鉄屑に過ぎないとは承知しております。しかし、わたくしにも使命があります! ご主人様に満足していただけるよう、粉骨砕身でご主人様に尽くそうという志を持ってこの世に生まれて参りました! その志を絶たれてしまうのは――非常に残念ですが、血も涙もあるに違いないご主人様がそう言われたということは、それがご主人様にとっての一番の幸せなんでしょうね! それでは、失礼しました。本っ当に失礼しました! また次は、ハンガーかなにかになったわたくしを酷使していただければ幸せです! それでは、ご主人様! さようなら……さようなら! また、会う日まで! けっしてご主人様の決定を呪うなんてことしませんから! わたくし、しょせん鉄屑ですからね!


 家事じゃなくて、むしろ恐喝やれば?
 そう僕が思うのも無理はなく、こうしてアンドロイド人型と僕の生活が始まってしまったのだ。助けて! どらえもん!


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 余々さんから頂いた、眼鏡っ子メイドさん。妄想文をつけてみましたが、非常に何コレ、オチナシじゃねという状態になりました。こんなメイドさん家に居たら非常に和むよね。余々さん素敵なイラストをありがとうございました!