峰藤は昨日、新聞部部長である伊藤紀子にインタビューをさせてくれと頼まれた。
それというのも、新聞部の「眼鏡人ランキング!」という、峰藤ならば眉を顰めたくなるような下らない企画で、何を間違ってか自分が一番になってしまったらしい。その裏ではコアな峰藤ファン達による組織票が水面下で投じられていたのだが、それは彼の知る所ではない。
自分は副生徒会長であったし、生徒を管理する責任はあるが、それは自分の義務の範囲外のことだ。そう判断した峰藤は、「迷惑だから、嫌です」とはっきり言った――自分の記憶が正しければ。
その後もしつこく食い下がってくる紀子に冷たい態度を取り、言葉は聞き流し、その時は紀子も諦めたと思っていたのに。
一夜明けて休日、市の図書館で読書をしていた自分の目の前に断りもなく座り、にこにこと笑っているのはまぎれもなくその伊藤紀子であった。「新聞部部長はすっぽんのようで、ジャーナリズムというかネタの為ならやることなすことえげつない」との噂に偽りはないらしい。峰藤は本にしおりを挟んでから閉じ、ひとつため息を付いた。どうやら、大人しく付き合う他に安息を得る道はないらしい。
「――まずは眼鏡人ランキング、おめでとうございます!」
祝いの言葉を言われてもこれほどに嬉しさがこみ上げてこず、脱力感が襲われたのは初めての経験かもしれない。峰藤はせめてもの抵抗として不機嫌そうな声で返した。
「いち眼鏡人ではありますが、『眼鏡』というだけで何が目出度いのか、私には一向に理解が出来ませんね」
「あっ、やはり副会長も嬉しいですか! 私も眼鏡人ですけど、ランキング外でしたし! 凄いですよねぇ。それで副会長の眼鏡歴って何年ですか?」
「――人の言葉を正しく理解していらっしゃいますか?」
峰藤は紀子を睨みつけながら低い声を出す。紀子は一度きょとんとしてから、少し困ったなという風に笑った。
「副会長ったら、質問に質問を返さないで下さいよ! さぁ、時間も勿体無いですし。眼鏡歴をずずずいと答えちゃって下さい!」
「……六年」
もはや抵抗する気力もなくなった峰藤は、ぽつりぽつりと質問に答えていく。ふと自分は実は押しに弱い人間なのだろうかと思うと余計に暗くなった。
そこに結城がいたならば、にっこりと笑ってこう言ってくれていただろう。
あれ、まだ気付いてなかったの、浩輝君。
このインタビュー記事にのった峰藤の写真をこっそりと生徒手帳に偲ばせる生徒が居たとか居なかったとか。
彼は素敵な眼鏡ボーイ
お礼&蛇足という名の後書き
せんとさんに頂いてしまった、眼鏡峰藤! かっこいいです! クールビューティとはこのことですね! 眼鏡姿がすっごく素敵でめろめろですよ〜。ああ、生きててよかった。今回のSSには折角でしたので台詞も使わせて頂きました。紀子さんとの絡みです。オチなくてすいません。峰藤は桂木とか結城さん(笑顔でごり押し)とか押しの強い人に弱いんじゃないかなと思います。せんとさん、素敵なイラストをどうも有り難うございました!
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