「ん、むむむ」
拓巳はフローリングの上に座り込みながら呻き声を上げた。どうやら何かを考え込んでいるらしい。
二本ラインのジャージと、部屋着である白い長袖Tシャツの上にミニタリーベスト。
どちらかというと砕けた格好なのに、色素の薄い柔らかい髪の毛と透き通るような翡翠の瞳が、それがまるで正装であるかのような印象に変える。そして儚げさまで感じさせるのは、ひとえに内面を裏切りまくった外面のよさの賜物である。
小さい粒が入ったワイン色のクッションをぎゅっと抱きしめる様は、そういった趣味をお持ちのお嬢さんたちを充分に悩殺する威力を持っていた。
ぎゅ、ぎゅと何かを確認するかのように何度も抱きしめる。もしクッションに人格が宿っていたとしたら、その次点で鼻血でも噴出していただろう。
ぎゅっと両腕ではさんで、少し捻る。
力いっぱい抱きしめた上に、顎でぐっと押さえる。
「ぜんぜん駄目だ」
難しい顔でそう呟いた拓巳は、憂いを帯びたため息をついてクッションを放り投げた。どこか寂しげにクッションがくたりとベッドの上でのびた。それに柳眉をそっと寄せる。不満なのだ。
むむむ、と唸りながら、投げ捨てたクッションをじっと見つめる。そしてもう手元に繰り寄せる。今度は、左手で強くかき抱いて、左手の手首を右手でぎゅっと自分のほうへと寄せる。
それに拓巳はようやく改心の笑みを浮かべた。
薄い唇がやんわりとカーブを描き、翠色の瞳は嬉しそうにきらきらと輝く。
「明日の絞め技はこれだな」
拓巳王子は彼女をいじくるための技の開発に余念がないらしい。
拓巳王子の憂鬱
蛇足となの付く後書き。
南銭斗さんが一万ヒットのお祝いに桂木拓巳を描いてくださいました! 妄想SSのオチくだらねぇ!とお怒りの皆様ごめんなさい。素敵な銭斗さんの絵に、こんな駄文をつけてしまいました。それにしても素敵ですねぇ、銭斗さんの書いてくださった拓巳王子。王子のオーラとフェロモンがきらきらしています。こんな王子なら佐東も絞められてもいいです(待て)銭斗さん本当に有難うございました!
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