母に言われてスーパーに買い物をしにいった途中に、私はばったりとUMA的な人たち遭遇してしまった。
 うわぁ、とげんなりした表情をした私に、一方は不機嫌そうに眉を跳ね上げ、そしてもう一方は哄笑する。私は用事を思い出しました、という顔をして、とても自然な流れで踵を返そうとしたが、伸びてきた腕に捕獲されてしまった……お母さん、ご所望のお醤油は夕飯には間に合わないかもしれません。
 心の中で観念して、私は津軽海峡よりふかい、ふかぁい溜息をついた。

「こら、2C! 先輩に出合ってその態度かっ! 教育的指導をしてやるぞっ!」
「今回ばかりは桂木に同意せざるを得ませんね――目上の人間に対する態度というものをそこの礼儀知らずに思い出させるべきです」
「ヒィッ! 桂木会長っ! 峰藤副会長っ! こんにちはっ! 本日はお日柄もよろしくっ! ごきげんいかがでしょうかっ!?」

 いつもは喧々囂々な癖して、なんでこんな時だけは意気投合しているのだ。
 私は即効で涙目になりながら、馬鹿丁寧な挨拶をまくしたてた。桂木はびくついている私の挙動に馬鹿笑いをするし、峰藤からは下種が逆らいやがって、という蔑みの視線がとんでくる――ストレスで禿げそう、私。

「それで、お前はこんなところで何をやっているんだ?」
「なにって……買い物に行く途中ですけど」
 私は片手に持っているエコバックを軽く持ち上げて、忙しさをさりげなくアピールしてみた。しかし、基本的に話を聞いていない桂木はぽんと手を打ち、自分の好きなように解釈する。
「つまり、お前は今、暇だということだな!」
 どこをどうとったらそーなる。
 日本語が通じているかどうかを危ぶむレベルを既に超越していた。そして、見るからに機嫌が良さそうな桂木は、とんでもないことを言い出した。

「これから、俺は藤と"ぷりくら"をとりにいく! お前もお供するがいい!」

 峰藤とプリクラって、死神がハワイでバカンス取るぐらいの不釣合いさだったが、不服そうな顔の本人を見れば、その心中は推して知るべしといったところだ……もしかしたら結城さんからでも息子のお守りを頼まれたのかもしれない。それが小学生からの付き合いだというのだから、峰藤のザイルのような忍耐力に私は敬意を抱いた。

 そうして撮った不細工なプリクラは、どういうルートでか結城さんの手に渡り、私はさんざんからかわれる事になるのだが――それはまた後の話である。



セイ、チーズ!



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御礼&蛇足という名の後書き
 ヤオさんのところから頂いてきた、素敵なトリオイラスト!!!!!! 峰藤と桂木の陰陽が秀逸です!!! 凛とした峰藤と華やかな桂木にめろめろでした。線がすごく美しい〜! そして、ヒロインの嫌そうな笑顔をみるたび笑ってしまいそうになります(笑)! 絶対に無理やり笑わされてるよねこれ(笑)! 凄く三人の立ち居地というかスタンスが現れてて、嬉しくなってしまいました! ヤオさん、素敵なイラストをどうもありがとうございました!

ヤオさんのサイトはこちら → かいなのやおろず